新年の御挨拶
令和3年1月8日

新年明けましておめでとうございます。
昨年は、新型コロナウイルス一色の一年でした。皆様も御苦労と御心配の尽きない年であったと思います。本年、令和3年、2021年が、全ての方々にとって健康で平和な素晴らしい年になることをまずは、心より祈念いたします。
私自身着任して三ヶ月あまり、新型コロナウイルスの関係で、通常の形で大使としての任務を遂行するには、まだまだ、困難があります。そのような中ですが、時にはWEBも使いつつ、大使としての活動を行っています。
昨年は、残念ながら新型コロナウイルスのパンデミックが、全世界的に暗い影を落としました。ワクチンの導入開始という明るい兆しは見えてきましたが、日本、欧州を始め、まだまだ、このウイルスと戦い続けなくてはなりません。
ワクチンの開発、全ての人々への普及、治療薬の開発に関して、日本とEUは既に、国際社会において、様々な形で協力し、イニシアテイヴを発揮してきています。今年も喫緊の課題として協力を強化していくことが大切です。
新型コロナウイルスによる、経済への悪影響の深刻さは言うまでありません。昨年欧州においては、新型コロナウイルスによって受けた被害からの復興、より強靭な社会、経済を創出等のために、7500億ユーロの復興基金、また、1兆740億ユーロの今後7年間中期予算の計約1.8兆ユーロの予算が承認され、これから基金の運用も始まります。前代未聞の危機に困難な中、団結を示し、EUの歴史上、重要な一歩を踏み出したEUの皆様に敬意を表します。日本経済も同様に打撃を受けており、全力を挙げてその復興に取り組んでいます。強く蘇る欧州経済は、日本、世界にとっても必要です。コロナへの対応と経済復興の両立は、各国共通の難しい課題ですが、日本とEUはここでも協力することとなります。
英国のEU離脱は、4年半に及ぶ長く厳しい交渉の末、将来のEUと英の関係を律する新たな枠組みが昨年クリスマス直前に合意に至りました。合意なく期限を迎えていれば、物流を始め様々な分野で混乱が生じ、世界経済へ悪影響が生じることは避けられませんでした。双方が、困難を乗り越え、妥協して、合意に至ったことを歓迎します。
日本は、EU、英国双方と経済のみならず、政治、科学技術、文化を含め全ての幅広い分野で、歴史的にも長く、緊密な関係を有しています。これからもEU、英双方とこの様な関係を同じ価値観を共有するパートナーとして発展させていきたいと思います。
さて、本2021年が始まるに当たり、日本とEUとの協力についての展望を述べさせていただきたく存じます。
菅総理は、就任直後、9月、10月に、ミシェル欧州理事会議長及びフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長とそれぞれ電話会談を行いました。これらの電話会談においても確認されていますが、日本とEUとの間で、デジタル、環境・気候変動等において、協力して主導的役割を果たしていくことが期待されています。
デジタルの分野においては、G20でも確認されているとおり、国際的なデータ流通が飛躍的に増加する中で、消費者や企業の「信頼」を確保しながら、自由なデータ流通を促進する「データ・フリーフロー・ウィズ・トラスト(DFFT)」に関する議論を、各国と情報共有を図りながら引き続き推進していくことが重要であり、日本とEUとの協力はここでも重要です。
環境・気候変動の分野において、日本は、菅総理が表明されているとおり、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指しています。この分野での協力の具体化が必要です。
このように、日本とEU双方が、デジタルとグリーンという二つの分野を最も優先すべき政策課題として強調していることは、決して偶然ではありません。長い歴史を経て、同じ価値観を共有する双方が、共通の課題を最も重要視するのは当然の結果です。
これらのグローバルな課題に加えて、国際場裡での様々な課題、地域問題、安全保障の分野でもその相互理解、連携は深まっています。日本が、欧州を囲む地域の諸問題について、EUと協働するのと同様、EUもアジア・太平洋における諸問題に日本と連携しています。地理的距離はグローバルな国際社会では意味を持ちません。アジアと欧州の連結性のための方途についても協力すべく議論しています。
自由、民主主義、多国間主義、法の支配という価値を共有する日本とEUがお互い直面する各問題について、更に協働、連携を深めていくことは大切です。そのことが、発効後二年を迎える日EU経済連携協定(EPA)、始動して二年の日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)の意義、効果に弾みをつけることとなりますし、多くの課題に直面し、長年支えていた共通の価値が挑戦を受けつつある国際社会の平和と繁栄に貢献することとなると確信します。
最後に、本年が、日本、欧州そして世界の皆様にとって幸せな一年となるよう改めて祈念したいと思います。
English
昨年は、新型コロナウイルス一色の一年でした。皆様も御苦労と御心配の尽きない年であったと思います。本年、令和3年、2021年が、全ての方々にとって健康で平和な素晴らしい年になることをまずは、心より祈念いたします。
私自身着任して三ヶ月あまり、新型コロナウイルスの関係で、通常の形で大使としての任務を遂行するには、まだまだ、困難があります。そのような中ですが、時にはWEBも使いつつ、大使としての活動を行っています。
昨年は、残念ながら新型コロナウイルスのパンデミックが、全世界的に暗い影を落としました。ワクチンの導入開始という明るい兆しは見えてきましたが、日本、欧州を始め、まだまだ、このウイルスと戦い続けなくてはなりません。
ワクチンの開発、全ての人々への普及、治療薬の開発に関して、日本とEUは既に、国際社会において、様々な形で協力し、イニシアテイヴを発揮してきています。今年も喫緊の課題として協力を強化していくことが大切です。
新型コロナウイルスによる、経済への悪影響の深刻さは言うまでありません。昨年欧州においては、新型コロナウイルスによって受けた被害からの復興、より強靭な社会、経済を創出等のために、7500億ユーロの復興基金、また、1兆740億ユーロの今後7年間中期予算の計約1.8兆ユーロの予算が承認され、これから基金の運用も始まります。前代未聞の危機に困難な中、団結を示し、EUの歴史上、重要な一歩を踏み出したEUの皆様に敬意を表します。日本経済も同様に打撃を受けており、全力を挙げてその復興に取り組んでいます。強く蘇る欧州経済は、日本、世界にとっても必要です。コロナへの対応と経済復興の両立は、各国共通の難しい課題ですが、日本とEUはここでも協力することとなります。
英国のEU離脱は、4年半に及ぶ長く厳しい交渉の末、将来のEUと英の関係を律する新たな枠組みが昨年クリスマス直前に合意に至りました。合意なく期限を迎えていれば、物流を始め様々な分野で混乱が生じ、世界経済へ悪影響が生じることは避けられませんでした。双方が、困難を乗り越え、妥協して、合意に至ったことを歓迎します。
日本は、EU、英国双方と経済のみならず、政治、科学技術、文化を含め全ての幅広い分野で、歴史的にも長く、緊密な関係を有しています。これからもEU、英双方とこの様な関係を同じ価値観を共有するパートナーとして発展させていきたいと思います。
さて、本2021年が始まるに当たり、日本とEUとの協力についての展望を述べさせていただきたく存じます。
菅総理は、就任直後、9月、10月に、ミシェル欧州理事会議長及びフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長とそれぞれ電話会談を行いました。これらの電話会談においても確認されていますが、日本とEUとの間で、デジタル、環境・気候変動等において、協力して主導的役割を果たしていくことが期待されています。
デジタルの分野においては、G20でも確認されているとおり、国際的なデータ流通が飛躍的に増加する中で、消費者や企業の「信頼」を確保しながら、自由なデータ流通を促進する「データ・フリーフロー・ウィズ・トラスト(DFFT)」に関する議論を、各国と情報共有を図りながら引き続き推進していくことが重要であり、日本とEUとの協力はここでも重要です。
環境・気候変動の分野において、日本は、菅総理が表明されているとおり、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指しています。この分野での協力の具体化が必要です。
このように、日本とEU双方が、デジタルとグリーンという二つの分野を最も優先すべき政策課題として強調していることは、決して偶然ではありません。長い歴史を経て、同じ価値観を共有する双方が、共通の課題を最も重要視するのは当然の結果です。
これらのグローバルな課題に加えて、国際場裡での様々な課題、地域問題、安全保障の分野でもその相互理解、連携は深まっています。日本が、欧州を囲む地域の諸問題について、EUと協働するのと同様、EUもアジア・太平洋における諸問題に日本と連携しています。地理的距離はグローバルな国際社会では意味を持ちません。アジアと欧州の連結性のための方途についても協力すべく議論しています。
自由、民主主義、多国間主義、法の支配という価値を共有する日本とEUがお互い直面する各問題について、更に協働、連携を深めていくことは大切です。そのことが、発効後二年を迎える日EU経済連携協定(EPA)、始動して二年の日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)の意義、効果に弾みをつけることとなりますし、多くの課題に直面し、長年支えていた共通の価値が挑戦を受けつつある国際社会の平和と繁栄に貢献することとなると確信します。
最後に、本年が、日本、欧州そして世界の皆様にとって幸せな一年となるよう改めて祈念したいと思います。
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